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交通システム「ハイパール―プ」
交通システム「ハイパール―プ」

Press release -

ハイパーループのデジタル信号・運行管理システムの開発が前進

 株式会社日立製作所(以下、日立)の鉄道システム事業におけるグループ会社である日立レールとHyperloop Transportation Technologies(以下、ハイパーループTT社)は、ハイパーループのクラウドベースによる欧州共通の列車制御システム(European Rail Traffic Management System、以下ERTMS)のPoC(概念実証)を完了し、最高時速1,200kmの走行を可能にする革新的な交通システム「ハイパール―プ」の商用化で重要なマイルストーンを達成しました。

 日立レールのナポリ工場で、両社はハイパーループの信号システム、運行管理システム、一部の物理的安全要求の統合試験を行うことのできるデジタルシミュレーターの開発に成功しました。現在、開発したデジタルシミュレーターとハイパーループTT社のシミュレーターとを機能的に統合するインターフェースを開発中です。

 複雑な物理的機器の機能をクラウド上のソフトウェアに置き換えることにより、信頼性と柔軟性を向上させて、保守コストを削減し、持続可能性を実現することができます。また、このデジタルシミュレーターは、反復作業を自動化するとともに、潜在的トラブル要因を事前に検知・管理することで、トラブル発生時に都度対応する手間を省き、ハイパール―プTT社の効率化に貢献します。

 両社は、ERTMSとEuropean Train Control System (以下、ETCS) レベル2の信号技術に準拠した形で、超高速で移動するカプセルの制御をシミュレートするシステムを構築しました。ERTMSは国際的に広く使用されており、汎用性に富んでいるため、このハイパーループ向け信号システムは、新しい規格を作る必要なく、世界各地で安全に運用することができます。

 シミュレーションモデルが完成したので、次のステップでは、物理的な信号インフラとクラウドベースの信号・運行管理システムのシミュレーションモデルの両方を実際のカプセルとデジタル的に統合することになります。これにより、フランス・トゥールーズにあるハイパーループTT社の試験線でのシステム全体の物理的試験に移行するための道が開かれます。

■ハイパーループTT社CEO、Andres De Leon(アンドレス・デ・レオン)のコメント

 「日立レールの鉄道向け運行管理システムの、据え付け、保守、監視の経験は他の追随を許しません。私達は日立と協力してハイパール―プ向けのERTMSとETCSの最先端のシミュレーションを実施し、世界で最も速く、最も効率的で、最も経済的な輸送ソリューションを創出するという目標達成に近づくためのステップを踏んだことを喜ばしく思います。私達は、最小の投資で技術的な進歩を果たすことを支援してくれるパートナーと働くことをうれしく思っており、このプロジェクトはその素晴らしい例です。」

 ハイパーループTT社は引き続き、過剰な人口増加、交通渋滞、二酸化炭素排出、大気汚染などの現代社会の長期的重要課題を解決していくことにコミットしていきます。

■日立レールChief Director of Innovation、Leonardo Impagliazzo(レオナルド・インパグリアッツォ)のコメント

 「日立レールは新しいデジタルのモビリティ技術の先駆者となることにコミットします。米国、カナダ、欧州、中東、オーストラリア、アジアで、私達のデジタル技術は毎日多くの人々の安全な移動に貢献しています。今回のパートナーシップは、私達の最高クラスの信号システムと自動運転システムを進化させ、ハイパーループTT社の超高速輸送向けにカスタマイズさせることを可能にしました。私達はこの達成を歓迎し、プロジェクトの次の段階を検討しています。」

 日立レールは2020年12月、ハイパーループTT社と、ハイパーループのカプセル輸送システムと業界最先端の日立の信号技術ERTMSの統合をめざす技術パートナーシップを発表しました。日立レールは高速鉄道向けデジタル信号業界のグローバルリーダーで、ERTMS技術を英国、イタリア、スペイン、スウェーデン、フランスといった欧州、非常に競争の激しい中国やインドで最初に納入しています。

■ハイパーループTT社について

 Hyperloop Transportation Technologies(以下、ハイパーループTT社)は先進的な輸送・テクノロジー企業で、航行機と同じスピードを地上で実現し、旅客や貨物を安全で効率的かつサステナブルに移動させるシステム「ハイパーループ」の実現に注力しています。特許を取得した独自技術と先進的な協業型ビジネスモデルを通じて、ハイパーループTT社は新しい輸送手段を開発しています。

 欧州の航空宇宙産業の中心都市であるフランス・トゥールーズのハイパーループTT社の欧州の研究開発センターには、世界初の実物大の試験システムがあります。ハイパーループTT社は2019年、ハイパーループシステムを分析した初の包括的フィージビリティスタディを発表し、システムが経済的にも技術的にも実現可能で、政府の補助金なしで利益を創出できると示しました。

 2013年に創立されたハイパーループTT社には、多くの専門分野にわたる52の学際的チームに所属する800人を超える技術者が参加し、50の企業や大学とパートナー提携しています。ハイパーループTT社の本社は米国カリフォルニア州ロサンゼルスとフランス・トゥールーズにあり、北南米、中東、欧州に事務所があります。

 ハイパーループTT社は国際連合の持続可能な開発目標(SDGs)にコミットしており、国連グローバル・コンパクトの会員になっています。

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■日立製作所について

日立は、データとテクノロジーでサステナブルな社会を実現する社会イノベーション事業を推進しています。金融・官公庁・自治体・通信向けITサービスやお客さまのDXを支援する「デジタルシステム&サービス」、エネルギーや鉄道で脱炭素社会の実現に貢献する「グリーンエナジー&モビリティ」、産業流通、水インフラ、ヘルスケア、家電・空調システム、計測分析システム、ビルシステムなどの幅広い領域でプロダクトをデジタルでつなぐ「コネクティブインダストリーズ」と、自動車・二輪車の分野で先進技術を提供する「オートモティブシステム」の事業体制のもと、ITやOT(制御・運用技術)、プロダクトを活用するLumadaソリューションを通じてお客さまや社会の課題を解決します。グリーン、デジタル、イノベーションを原動力に、お客さまとの協創で成長をめざします。2021年度(2022年3月期)の連結売上収益は10兆2,646億円、2022年3月末時点で連結子会社は853社、全世界で約37万人の従業員を擁しています。

詳しくは、日立のウェブサイト(https://www.hitachi.co.jp/)をご覧ください。

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