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「CES 2018」出展 ロボティクスで示したヤマハの新たな可能性 Yamaha Motor Monthly Newsletter(February 15, 2018 No. 62)

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「CES 2018」出展 ロボティクスで示したヤマハの新たな可能性 Yamaha Motor Monthly Newsletter(February 15, 2018 No. 62)

ヤマハ発動機にとって、2018年は現在の中期経営計画の最終年。さまざまな事業分野でひとまわり・ふたまわり大きな“個性的な会社”をめざしながら、目標とする年間売上高2兆円の達成に向けた取り組みを行っています。そうしたなか、1月には世界最大のコンシューマー向けエレクトロニクス見本市「CES(Consumer Electronics Show) 2018」に初めて出展。東京モーターショーで注目を集めた「MOTOROiD」など5モデルを通じ、制御、自動運転、AIといったモビリティの可能性を拡げる先進技術の研究・開発成果を披露しました。
今回は、2018年1月に新しく就任した日髙祥博社長の共同インタビュー談話を交えながら、その狙いや意義についてご紹介しましょう。

展望:ロボティクスが中長期成長のカギ

 1955年、日本の新しい二輪メーカーとして産声を上げたヤマハ発動機は、その後、エンジン技術を活かして船外機、スノーモビル、ATV、発電機などの事業を開拓。また船外機と同時期にFRPボートを開発してマリン事業を拡大し、FRP加工技術を利用したプールの製造販売にも進出。さらに自社モーターサイクルの生産ラインを効率化する機器から生まれた産業用ロボットなどのIM(Intelligent Machinery)事業を加え、多彩な顔を持つ総合機器メーカーへと発展を遂げました。
 そのなかでヤマハは、エンジンやウォータージェット、電動アシストなどのパワートレイン、車体・艇体、電子制御をコア技術として磨き上げ、事業領域を超えた幅広い製品に相互利用することで“ヤマハらしいモノ創り”を促進。2017年には年間売上げ1兆6,701億円と過去最高益を達成しました。
 2018年1月に就任した日髙祥博社長は、この業績予測を踏まえ、前年12月のメディア向けインタビューで次のように語りました。「ヤマハの事業をセグメントすると、3つに分けられます。ひとつはモーターサイクルや電動アシスト自転車、ROV/ATVなどのモビリティ。もうひとつは、船外機やウォータービークルを中心とするマリン。そして3つ目が、B to Bの産業用ロボットやサーフェスマウンター、産業用無人ヘリコプターといったロボティクスです。とりわけモビリティは各事業の合計で1兆円以上あり、マリンももう少しで3,000億円に手が届く。数年のうちに、この2つで2兆円の売上げが狙えるのではないかと期待しています。
 ロボティクスについても、電子機器業界をはじめとするスマートファクトリー化の流れを受け、産業用ロボットとサーフェスマウンターの生産能力を1.7倍に増強した新工場がフル稼働を続けるなど好調でした。まだ既存の事業を合わせて1,000億円規模ですが、世界的な農業における人手不足の解消や、今後進むであろうスマート社会への対応を考えると、成長率という点でもっとも大きな伸長が期待できる分野だと思います。例えば、サーフェスマウンター 技術を応用してバイオメディカル事業への道を拓いた製 品・セルハンドラーを開発したように、2018年はモビリティやマリンより少しレベル、スピードを上げ、資源投入を増やして取り組むつもりです」

  この 1 月から就任した日髙社長は、国内外の二輪車事業を長く経験。
現在 の愛車は「YZF- 1M」と根っからのバイク好きでもある

ヤマハらしさ:モビリティとロボティクスの融合

 ヤマハがロボティクスに初めて着手したのは1970年代半ば、自社モーターサイクルの生産ラインを効率化する組立ロボットの開発がきっかけでした。その後、外部販売を開始してIM事業がスタートし、電子機器の基板に電子部品を搭載するサーフェスマウンターを製品化。日進月歩の激しい競争に揉まれながら、精密かつ高速動作に不可欠なモーター制御技術、厳しい評価基準に基づくメカ・コントローラー開発技術、厳しい環境下でも安定した動作が可能な信号処理技術などを磨き上げてきました。
 これらの技術はやがて、無線遠隔操作で飛行する産業用無人ヘリコプター、モーターサイクルのエンジンやサスペンション制御、人間の力を電気モーターの動力で補助する電動アシスト自転車など各種モビリティにも活用され、さまざまな製品の機能・性能を大きく進化させています。日髙社長が示唆したロボティクスへの期待は、FA(Factory Automation)やSMT(Surface Mount Technology)、UMS(Unmanned System)という枠組みにとどまらず、幅広い既存製品との融合から生まれる新しい製品、事業の広がりに向けられており、2017年東京モーターショーで“人と マシンが共響するパーソナルモビリティ”の可能性を 探る実験機「MOTOROiD」もそのひとつです。
 そこでヤマハは、こうした技術・製品開発、事業化を促すため、2018年1月に組織変更を行い、新たなモビリティ分野を担う「モビリティ技術本部」、新規事業企画と先進技術開発を融合した「先進技術本部」を新設。さらにIM事業部をSMT、FA、UMSの3部門からなる「ロボティクス事業部」に改編するなど、いっそうの体制強化に乗り出しました。
 また同じく1月、アメリカ・ラスベガスで開催された世界最大規模のコンシューマー向けエレクトロニクス見本市「CES 2018」にも初めて出展。これまでの成果を披露するとともに、広く出会いの場を求め、新しい一歩を踏み出したのです。

CES 2018:想像以上の反響に高まる期待

 50年以上の歴史を持つ「CES」は、一般家電をはじめ通信・ドローン・映像・音響・ロボットなど多種多様な業界から約4,000社が出展し、約18万人が来場するビジネスイベント。近年の社会的なトレンドを反映し、EVや自動運転、AI、などスマート社会の構築に関連する展示に注目が集まるなか、ヤマハは“Robotics & Machine Intelligence”エリアで“Re DEFINE SMART”をテーマにブース展開しました。
 狙いはオープンイノベーション。これまでも、陸・海・空にわたるUMSモデルの開発や電磁誘導式のゴルフカーをベースにした小型電動車両による遠隔自動運転の実証実験、東京モーターショーでの技術展示など「いろいろなことを考えてやってきましたが、社内だけでは思うように広がらないし、スピードも上がらない。その点CESには、私たちと違ったアイデアや価値観を持ち、ビジネスチャンスをうかがっている人たちが世界中から集まってくる。そこに出展すれば大きな刺激になるでしょうし、具体的な提携だとか事業化に向けたパートナーが見つかるかもしれない。それによって、ヤマハの技術を実用化するスピードも上がっていくだろうと考えたのです」(日髙社長)。
 今回CESで披露したのは、モーターサイクルでのサーキット走行に特化し、最高速度200km/hをクリアした人型ライディングロボット「MOTOBOT Ver.2」と、AIによるオーナー認識技術と独自のバランス制御技術AMCES(Active Mass CEnter control System)などを搭載し、無人でも停止状態から自立して自動走行できるモーターサイクル「MOTOROiD」。すでに農業の薬剤散布などで活躍している産業用無人ヘリコプターのハイエンドモデル「FAZER R」と、新開発の電動マルチローターモデル「YMR-01」。そして日髙社長も注目しているゴルフカーの技術と路面画像認識技術、クラウド技術による管制サーバーシステムを組み合わせ、独自の自動運転サービスを構築できる「Public Personal Mobility (PPM) 06GEN Automated」の5モデル。 

  これまで実証実験を重ねてきた誘導線に沿って自動走行するゴルフカートと 異なり、今回の「Public Personal Mobility (PPM) 」は路面をカメラで読み取っ て認識し自動走行する。すぐにでも実用化できそうと多くの関心を集めた

 「多くはすでに東京モーターショーなどで情報公開しているモデルなので、来場者にどの程度アピールできるのか不安だったんですが、開けてびっくりの大盛況でした」と話すのは、日本本社の企画・運営担当者。「CESの来場者は、商談目的の技術系を中心とするビジネスパーソンが中心で、ヤマハについての情報が意外と事前に届いておらず、その分、どのモデルも新鮮な目で見てもらえました。このヘリコプターはエンジン搭載なのか? どのくらい積めるんだ? 2つのロボット(MOTOBOTとMOTOROiD)は何をめざしているのか? どんな技術を使っているのか? など技術寄りの具体的な質問がひっきりなし。なかでも、初公開した自動運転のPublic Personal Mobility (PPM)は近距離交通システムとして非常にシンプルで低コスト、技術的にも現実感があり、すぐに導入できそうだと好評でした。いずれにせよ、具体的な話が出てくるのはまだこれからですが、予想以上の反響を得たと実感しています」
 今後、継続的に出展を続けていくことになれば、CESはヤマハの技術開発、事業のあり方を大きく左右するきっかけとなるかもしれません。

Message from the Editor

 新しい可能性でいっぱいの場所・CESへの初出展。
 今まで培ってきた技術がさまざまなカタチとなって展示されたブースは、ヤマハの目指す未来を感じていただける格好の場となったようです。
 話題の自動運転車も、色々なシーンで目にするようになるかもしれませんね。さっそく乗ってみたいです!

 さて、次回より私こと太田に代わり、広報グループの堀江から本ニュースレターをお届けします。
 約3年間担当して感じたのは、ヤマハ発動機は「知れば知るほど面白い」アイデアとチャレンジ、熱意が積み重なってできているということです。そんなヤマハの今後の歩みをニュースレターと共に見守っていただけますよう、これからもよろしくお願いいたします。

太田涼子

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ヤマハ発動機グループは、「世界の人々に新たな感動と豊かな生活を提供する」ことを目的に、人々の夢を知恵と情熱で実現し、つねに「次の感動」を期待される企業、”感動創造企業“をめざします。

ヤマハ発動機は、パワートレイン技術、車体艇体技術、制御技術、生産技術を核とし、二輪車や電動アシスト自転車などのランドモビリティ事業、ボート、船外機等のマリン事業、サーフェスマウンターやドローンなどのロボティクス事業など多軸に事業を展開、世界30 ヶ国・地域のグループ140社で開発・生産・販売活動を行い、企業目的である「感動創造企業」の実現に取り組んでいます。今や、当社製品は180 を超える国・地域のお客さまに提供され、連結売上高の約9 割を海外で占めています。http://global.yamaha-motor.com/jp/

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