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すべての人が幸せになる“Joy Wheel”を追求!電動アシスト車いす Yamaha Motor Monthly Newsletter(Nov.15, 2017 No.59)

ニュース   •   2017年11月15日 15:00 JST

世界の人々に新たな感動と豊かな生活を提供する「感動創造企業」でありたい…。そのためにヤマハ発動機は、モーターサイクルやスクーターなどパーソナルモビリティを中心に「人間の感性に訴える高品質なモノ創り」に取り組み、対象者の幅を広げてきました。高齢者や身体に障がいを持つ人たちに対しても、日常的な移動手段である車いすに着目し、手動式を電動化する画期的なユニットを製品化。その後も、つねに利用者の声に耳を傾けながら改良を重ね、快適で活動的な毎日をサポートしています。
今回は、ヤマハならではの制御技術を駆使した新製品の投入でいっそうの成長、グローバル化をめざす電動車いす事業についてご紹介します。

外出をもっと快適に、自由に:JWユニット

 車いすには、左右ホイールのハンドリムを自分の手で回して動かす手動式と電気モーターで駆動する電動式があり、電動式はジョイスティックで操作するものと、カートのようなスタイルで外出用のハンドル型に分かれています。
 このうち、もっとも利用者が多いのは手動式。日常生活のほとんどを車いすで過ごすため、個人の障がい状況やレベル、体型に最適化した専用設計・仕様が施され、できる限り快適に、軽く、動きやすく作られています。しかし一歩街へ出ると、坂道や段差などがあちこちにあって身体的な負荷が大きく、長時間・長距離の外出は精神的にもかなりの疲労を伴います。
 電動式であればこうした負担は軽減されますが、モーターやバッテリーを搭載する車体は頑丈で重く、折畳んでクルマに積むことができない、小回りがしづらいといった弱点もあり、一般的に障がいが重い人や高齢者向けの製品と見なされていました。
 そこでヤマハ発動機は、それぞれの利点を両立する方法を模索。手動式車いすの“電動化ユニット”にたどり着きました。これはハブにモーターを内蔵した左右のホイールとバッテリー、ジョイスティックコントローラーなどで構成され、ホイールの交換とバッテリー、コントローラーを追加すれば、使い慣れた車いすがそのまま電動式に変わるという画期的なものです。
 「車いすの利用者、特に手動式の場合は、体力的な問題や人の手を借りることの精神的な負担から、つい外出を控えてしまいがちです。しかし、手動式のように軽快で、自由に動ける電動車いすがあれば、多くのことを自分でできるようになり、日常生活がもっと前向きに楽しくなるのではないか。私たちはそういうモノ創りをめざし、同じ思いを込めて製品にJW=Joy Wheelという名を付けました」(初期の開発担当者)。
 6年の開発期間を経て、1995年に日本で発売した最初の製品「JW-I」は、産業用ロボットなどで培ったヤマハ独自の制御技術を活かしたスムーズな操作性と走行性、軽量・コンパクト設計、取付作業の容易さ、標準的な手動式車いすのほとんどに装着できる汎用性などにより、順調なスタートを切りました。さらに翌年、電動アシスト自転車「PAS」の技術を活用し、ハンドリムを回す手の力を電気モーターで補助する「本当の意味での手動式車いす」ともいうべき新製品「JW-II」を発売。できる限り自分の力で動きたい、という利用者の気持ちに応えました。

手動式の“神話”に立ち向かう:普及活動

手動式と電動式のメリットを合わせ持つ簡易型電動車いすという新たなカテゴリーを切り拓いたヤマハは、その後も開発の手を緩めませんでした。製品の不具合があったと聞けば日本全国どこへでもすぐに出向いて対応にあたり、リハビリセンターや病院などを訪ねて利用者や介護者、専門家の声を聞くなど、製造・販売・技術のスタッフが一体となって情報収集を継続し、丹念に品質・機能・性能の向上をはかってきました。
 2017年現在の最新モデルは、最高速度や加速度、減速度、ジョイスティックの動作量や操作する方向を個人の症状に合わせて設定可能な電動ユニット「JWX-1 PLUS +」と、軽く滑らかなハンドリム操作で漕ぎ出しから坂道の上り下り、傾斜地の横断まで快適な走行性を実現する電動アシストユニット「JWX-2」。どちらも、ヤマハ独自の制御システム(JW Smart Core)を搭載しているので、パソコンにつないで専用ソフトウェア(JW Smart Tune)を使えば、使用者の状態や使用場面に合わせた細かな設定が可能です。
  なかでも「JWX-2」は、以前から課題として上げられていた“片流れ”(左右に傾斜した路面で進路が低い方へと逸れていく現象)を解消する世界初の機能や、ひと漕ぎで進む距離を設定できる機能を新たに付加。さらに漕ぐ力のセンサー感度を高め、本来アシストが必要な腕の力が弱い人や上体の保持が難しい人たちにいっそうやさしく、バージョンアップしました。
 このほか日本市場では、高齢者や軽度な障がい者のレンタル用などに、汎用性のある車いす本体にユニットを搭載した完成車もラインナップ。着々と需要拡大をはかり、JWシリーズ合計で年間5,200台あまりを販売(2016年実績)、簡易型電動モデルで約95%のシェアを獲得しています。
 「しかし、国内の車いす需要は全体で約42万台に上り、手動式が40万台を占めています。それはまだ、JWユニットの認知度が足りない、利点が正しく理解されていないということ。生産部門まで含めて60名足らずの小規模な部署ですが、心をひとつにして普及活動に取り組んでいます」とJWビジネス部長。
 リハビリに携わるトレーナーなどでも、残存機能を衰えさせないためには手動式しかないと信じておられる方が多いため、科学的・専門的立場の研究者にJWの効果や役割を講演していただいたり、女性JWユーザーどうしのコミュニケーションを促すWebサイトの運営やミーティングの開催などはその一例。JWらしく静かにスマートに、活動はさらに続いています。

JW品質を高め、証明する:グローバル戦略

 JWシリーズが初めて海外市場に進出したのは1999年。国際的な展示会に世界初の電動アシストユニットとして出展した「JW-II」が大きな注目を浴び、ヨーロッパのメーカー3社にOEM供給を開始しました。そしてアメリカ、韓国、台湾、オーストラリアへと供給先を拡大し、現在はJWシリーズ合計で年間約2,200台あまりに輸出(2016年実績)を伸ばしています。
 しかし世界の市場全体で見ると、やはり手動式の占める割合が圧倒的に高く、電動式のなかでも手動式車いすにユニットを取り付ける簡易型は数%。そこにドイツやアメリカの医療機器メーカーが参入してきたため、JWのOEM製品は最大シェアを確保するまでに至っていません。
 「ヨーロッパやアメリカなどで、車いすは医療器具として扱われます。その分野には、すでに高い実績と充実した販売・サービス網を持つ企業・ブランドがあり、この壁は一朝一夕に崩せません。OEM先を信頼し、継続的に丹念にサポートしていくことが重要なんです」とJWビジネス部長。例えば製品力について、「海外は日本と違って電動よりも電動アシストの需要が高い。ヤマハはこの技術のパイオニアであり、大きな課題である片流れに対応しているのは、JWX-2だけ。この強みを浸透させ、シェア拡大のきっかけにしたい」と意気込んでいます。
 またもうひとつの後方支援は、JWユニットの品質・信頼性を公的に証明すること。欧州EN規格への適合や米国FDAへの登録に続いて、2017年には医療機器分野における品質マネジメントシステムの国際標準規格ISO13485:2003認証も取得しました。「これは、3年ほど前から海外市場への取り組み強化を重点目標に、開発、製造、営業、サービス、品質保証、調達などJWビジネス全体の品質見直しを進めてきた成果です」
 スケールで上回る相手には、品質と少数精鋭ならではの結束力で突破口を開く……。それがヤマハスタイルの挑戦なのです。

きめ細やかなサポートと合わせて、電動アシストタイプのユニット「JWX-2」の導入をグローバルに進めて行く

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