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降雪地域の人々の生活を、快適に豊かに。ヤマハ除雪機 Yamaha Motor Newsletter(Jan.15, 2018 No.61)

ニュース   •   2018年01月15日 15:00 JST

ヤマハ発動機は、1955年、日本のモーターサイクルメーカーとして創立。そこで培ったパワートレイン技術をもとに船外機、スノーモビルを開発するなど、着々と事業の多軸化を進めていきました。レーシングカートや発電機と同じ汎用エンジンを利用した製品、除雪機もそのひとつ。降雪地域の人々の要望に応え、より力強く便利で扱いやすい生活の道具として熟成・進化を重ね、確かな実績と信頼を築き上げてきました。そしてその市場は、やがて日本から北米、欧州などへ広がり、さらに新しい可能性を見いだそうとしています。
今回は、2018年に40周年を迎える、ヤマハ除雪機事業についてご紹介します。 


世界需要:北米、欧州を中心に約100万台
 降雪地域で生活する人々にとって、冬の積雪はけっして喜ばしい存在ではありません。一夜にして家の戸口を塞ぎ、道路を埋めて交通の妨げとなることも珍しくなく、頻繁な除雪作業が欠かせません。主要な交通網や大規模な施設などは大型の除雪車、ラッセル車などを使って整備されますが、施設の内部、個人の住宅や中小施設の周辺は、自分たちの力が頼りです。
 手に手にシャベルやスノーダンプを握り、ソリや台車に乗せて集積場へ積み上げる……。それが毎日の仕事となれば、家の庭や通路・私道だけでも体力的な負担が大きく、女性や子ども、高齢者にとってはなおさらのこと。また早朝、通勤・通学前の作業では、時間的なロスも無視できません。
 そこで活躍するのが除雪機。主に一般家庭や周辺道路、駐車場などで使われる小型・中型のものは北米、欧州、日本などで普及が進んでおり、年間需要は世界でおよそ100万台といわれています。その種類は大きく分けて2つ。手軽でシンプルな1ステージ式と、よりパワフルで高性能な2ステージ式です。
 1ステージ式は小型の芝刈り機のような構造で、前面のドラムに取付けた複数のオーガ(刃)が回転し、雪を掻き集めると同時に一定方向に跳ね飛ばします。動力はオーガの回転だけに使われ、車輪が付いた本体を人間が手で押し歩く仕組み。主に積雪が浅い場所や乾いた軽い雪質の地域で使われ、世界でもっともポピュラーなカテゴリーです。 
 2ステージ式は、オーガで掻き集めた雪を、インペラと呼ばれる回転羽根で吸い込み吹き飛ばす2段アクションが特長。移動にもエンジンを使用し、悪路に強い無限軌道トラックベルトを備えるなど、湿った重い雪質や積雪量の多いところに適しています。 

  最初のヤマハ除雪機「YT665」とその構造(2ステージ式)


40周年:ヤマハ“青い除雪機”のあゆみ
 ヤマハ発動機が本社を置く日本は、ロシアや中国、韓国と日本海を隔てて向かい合う、北東に細長い島国。冬になると大陸の寒気が流れ込み、ほとんど全国で雪が見られます。特に日本海の水分を吸い上げた季節風が山地・山脈にぶつかる沿岸は、北海道・東北・北陸を中心に広く法律上の豪雪地帯・特別豪雪地帯に指定されており、約2,000万人が生活しています。
 そこでヤマハは、モーターサイクルやマリン製品に続く事業多軸化の一環として、1968年にスノーモビル、続いてスノーモビルで牽引する融雪剤散布機を開発。さらに降雪地域の要望に応え、1974年からアメリカ製除雪機の輸入販売を開始しました。
 しかし、日本の雪質は湿って重く、降雪・積雪量も多いため、アメリカの家庭用除雪機ではうまく対応できず、販売は芳しくありませんでした。やはり日本の環境・条件に適した製品でなければ……。そう考えたヤマハは、除雪機のノウハウを持つ農機メーカーの協力を得て自社開発に着手し、1978年、6馬力エンジン搭載で1時間あたり35tの除雪能力を持つ2ステージ式除雪機「YT665」を発売したのです。
 それから40年、ヤマハは数多くのお客さま、販売店の声に耳を傾けながらいっそう技術開発に力を注ぎ、独自のノウハウを蓄積。数々の魅力的な製品づくりに反映してきました。
 例えば1980年発売の「YSM250」は、除雪面積25〜50m2ほどの一般家庭を想定し、ベビーカーを押すような感覚で扱える17kgの軽量・コンパクトなボディと国内初の1ステージ式集雪投雪機構を採用。簡単な操作と良好な始動性、環境にやさしい低振動・低騒音を実現しました。より楽に、より短時間に、積雪を狙ったところへ処理できる除雪機の基本性能を追求した「YSM555」(1982年発売)もそのひとつ。「YT665」より軽量・コンパクトなボディながら、5.5馬力エンジンと2ステージ式集雪投雪機構により最大投雪距離14m、毎時32tの除雪能力を実現しました。 


軽量・コンパクトで扱いやすい「YSM250」は、
1983年以降、カナダや欧州でも「YS220」として販売された

 さらにその後、始動が楽なセルスターターをはじめ、レバー操作で方向転換を楽にするサイドクラッチ、オーガを油圧で上下するチルト機構、モーターで投雪方向を変える電動シュート、傾斜地でも除雪しやすいオーガローリング機構などを次々と製品に投入。2000年代に入ると、家庭、特に女性を意識した“やさしい高性能”をめざし、異物を噛みこんでもオーガを壊さないシャーボルトガード機構やエンジン部を囲い込んで騒音を低減する静音設計ボディ、超高分子量ポリエチレン成形板内蔵で雪詰まりを防ぎ快適に投雪できるジェットシューターを開発。ヤマハ除雪機を特徴づけるセールスポイントとなっています。
 また近年、雪を押し集めて処理するブレードを装備し、従来の2ステージ式除雪とブレード式除雪を使い分けできる一台二役モデルを日本向けに導入。深い積雪から浅い積雪、溶けかけの雪まで幅広く対応し、使用期間を延ばしたことで大好評を得ています。 


市場拡大:日本発の性能・品質で一歩ずつ
 ヤマハ除雪機が初めて海を渡ったのは1983年。本社技術部が世界市場を視野に入れて開発した「YSM555」をベースとするトラックベルト駆動の「YS524T」と、車輪駆動の「YS524W」などがカナダ・欧州向けに輸出されました。 


小回りが利く車輪駆動の「YS524W」。
欧州向けに赤、カナダ向けには青の塗色が設定された

 その後、徐々に製品ラインナップを増やし、1980年代後半には年間9,000台近くまで輸出実績を伸ばしましたが、現地メーカーなどとの価格差、さらには円高、気候変動による総需要の減退などが重なって、いったん撤退を余儀なくされた時期もありました。
 それでも、「日本の豪雪地域で好評を得たヤマハ除雪機は、当初から小型で扱いやすく高性能、耐久性に優れていると高く評価されていました」と話すのは、サービスマンとして海外市場を巡回した経験を持つ商品企画担当者。「特にカナダ東部は、日本の豪雪地帯に近い雪質で積雪も多いため、一般家庭だけでなく、除雪を請け負う業者やスキー場などの業務でヤマハ除雪機を指名する方もいらっしゃいます」
 そこで2010年前後から、再び海外での販売を開始。日本の環境で磨きをかけた2ステージ式の製品ラインナップでシェア回復に努めています。「現地の人に合わせたハンドル高や安全基準に準じた変更以外、製品の仕様は日本とまったく同じ。過剰品質、過剰性能だという指摘もありますが、除雪機は生活を守る実用品なので、価格優先の仕様変更はしていません。ヤマハならではのクオリティを信じ、価値を感じてもらえるところから地道に広げていくつもりです」
 それにはもちろん、各国拠点や販売店によるサービス力の充実も大切な要素。「現場でがんばっている方やお客さまの声に応え、これからもパーツ供給や情報提供などのサポートに力を注いでいきたいですね」
 世界中の降雪地域の人たちに、より豊かで快適な生活を……。“感動創造企業”をめざすヤマハの取り組みに、これからもどうぞご期待ください。


日本市場で人気の一台二役、ブレード付き「YS1070T-B」(2017年)

Message from the Editor

   まっ白な一面の雪景色。

 生活者にとっては「きれいだなぁ」では済まない、厄介者です。

 ヤマハ発動機は創立以来、多彩な商品を展開しながら発展してきました。そのひとつ、除雪機は、本社のある静岡県は気候が温暖なので普段は目にすることのない商品ですが、雪深い土地ではなくてはならないものです。

 場所によって全く異なる雪質と、お客様の声に耳を傾けながら、最適なソリューションを提供し続ける小型除雪機。雪をぐんぐんはねのける動画、見ていて気持ちいいです!

https://www.youtube.com/watch?v=6fuLMNZuz0A

 道なき道を突き進む除雪機の様に、今年もヤマハ発動機は未知の分野にもチャレンジし続けます!

太田涼子

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