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ビッグシングルの味わい ― SR400 Yamaha Motor Newsletter (November 6, 2018 No. 67)

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ビッグシングルの味わい ― SR400 Yamaha Motor Newsletter (November 6, 2018 No. 67)

1978年のニューモデルとして登場し、2017年にいったん生産終了となった4ストローク・単気筒スポーツモデル「SR400」が、2018年秋、排出ガス規制などに対応する仕様変更とシンプルで美しい外観、上質な走りに磨きをかけて復活。日本や海外の根強いファンを歓ばせました。
時代とともにモーターサイクルの高速・高性能化が進み、デザインの流行も大きく変化していくなか、発売当初の性能・機能・スタイリングをほとんど変えることなくロングセラーを続けてきた、その魅力とは何か……。40年の足跡をたどりながら紐解いてみましょう。

ヤマハらしさ:独自の価値観、五感に訴えるモノ創り

 モーターサイクルの価値、魅力とは何か……。ヤマハ発動機は、創立以来、その答えをつねに模索し提案し続けてきました。国産二輪車が手軽で便利な実用製品ばかりだった戦後復興期の日本にあって、所有感の高い美しさと品質、軽快な走る楽しさをアピールし、“赤とんぼ”の愛称で親しまれた「YA-1」(1955年)。レースにも使える本格的なスポーツモデルとして名を馳せた「YDS-1」(1959年)。モトクロスレーサー直系の軽量・スリムな車体とロングストロークのサスペンション、トルクフルなエンジンで優れたオフロード走破性を発揮した「DT-1」(1968年)……。これらはすべて、当時のモーターサイクルに新しいトレンドを拓くきっかけとなった、画期的なモデルです。
 日本で高速道路網の整備が進んだ1960年代後半から70年代にかけては、競合他社が最大市場アメリカを意識した多気筒・大排気量のパワフルな“スーパーバイク”開発に力を注ぐなか、あくまで軽量・スリムな扱いやすさを優先し、「XS-1」(1970年)などの4ストローク・2気筒スポーツモデルをラインナップ。
 その後も、独自の3気筒スポーツ「GX750(XS750)」や海外向けハイパワー・4気筒ツアラー「XS1100」、国産初の本格派クルーザーと評された「XS650 Special」「XS750 Special」、400cc、250ccの中小排気量4ストロークモデルなど、高品質・高性能をベースとしながら「人間の五感、感覚に訴えかける何かに重点を置いて完成度を高めた製品」を次々に投入し、多彩なラインナップで多様化するユーザーニーズに応える「ヤマハスポーツ新時代」を提唱(1978年)しました。
 「SR400」も、そうした方針を受けて誕生した製品のひとつ。ひと足早く1976年にアメリカやヨーロッパ、日本などで発売され、大ヒットした4ストローク・ビッグシングル(大排気量・単気筒)エンジン搭載のオフロードモデル「XT500」をベースに開発された、鼓動感あふれるトルクフルな走りが魅力のオンロードスポーツです。

1976年当時の販売店向け冊子「ヤマハニュース」の表紙を飾った「XT500」。当時、日本産最大のビッグシングルであり、オンロード・オフロードを問わず人車一体の走りを爽快に大胆に楽しめるデュアルパーパスマシンとして導入された

SRらしさ:シングル・スリム・シンプル

 アメリカの砂漠や荒野を力まかせに駆け抜けるマシンをめざし、当時のヨーロッパ製スクランブラーを参考に企画・開発された「XT500」は、SOHC・単気筒エンジンの軽さと耐久性を徹底的に追求し、週末のプレイバイクとして高い人気を獲得。さらに1979年・80年のパリ・ダカールラリーを連覇するなど、レースでも大活躍しました。
 そのエンジンをオンロードに適した高回転型に仕様変更し、吸排気系も一新。さらにCDI点火、デコンプ機構、負圧式燃料コックなどを採用して扱いやすさ・快適さを高めたモデルが「SR500」と、日本の免許区分に合わせて排気量調整した「SR400」です。

北米向けの初代「SR500」。他地域にはないリアディスクブレーキと最新のアルミキャストホイールを装備し、メイン市場への意気込みを伺わせた

 「オンロードスポーツというより、アメリカで人気のダートトラックレーサーに近いイメージ」(当時の開発プロジェクトリーダー)でデザインされた車体は、各部の設計変更によって強化され力強いトルクをしっかり受け止めるフレームと、ティアドロップ型の燃料タンク、フラットなダブルシート、スポークホイールにフロントディスクブレーキを備えた足まわりで構成され、「SR」ならではのスリムかつシンプルなシルエットを創出。さらに、クランクケースをバフ研磨してアルミの質感を活かしたエンジン、クロームメッキを施したエキゾーストパイプやフェンダー、メーターケースなど外観品質にこだわった丹念な作り込みによって、スピードやパワーよりも乗り味、所有感、あるいは自分なりのカスタムを楽しむ人たちに強くアピールしました。
 その後「SR」は、時代に合わせて足まわりやカラーリングに工夫を加え、環境基準や安全基準に適合した装備を整えることでデビュー当時のエンジン仕様、スタイリングをそのまま継承。10年、20年と熟成・深化を重ねる間に、販売が伸びず生産継続が危ぶまれたこともありましたが、「シンプルな単気筒、オーソドックスなスタイルをこれほど長く保ち続け、独特の存在感でファンを惹きつけている製品はほかにない。これこそヤマハの財産である」という社内・社外の声、生産・販売に携わる多くの人たちの努力によって、窮地を切り抜けてきたのです。
 それでも2000年、排出ガス規制の影響により「SR500」の生産が終了。続いて2017年には「SR400」も、同様の理由によってついに終了の時を迎えました。
 ただ、それはあくまで一時的な措置。モーターサイクル本来の普遍的な価値を市場に再提案するため、1年後、「SR400」は何ごともなかったかのような姿でファンのもとに帰ってきたのです。

日本で開催されたSRオーナーイベント。各年代の「SR500/400」が所狭しと並ぶ

未来:変えずに残すカタチと品質

 40年目の新しい「SR400」を創る。それは「SR」という名前の似た製品、異なる製品を作るのではなく、これまでと同じ性能・同じカタチを新しい技術で再現し、5年・10年先まで作り続けられる「SR」を創るという意味です。
 なんだ、簡単なことじゃないかと思えるかもしれませんが、そうではありません。
 例えば排出ガス規制に対応するため大型化したエンジンECUや蒸発したガソリンの放出を低減するキャニスターを、外観に影響しないよう、設置する場所や方法を徹底的に工夫する。ヘッドライトレンズを、法規対応のため樹脂に変えるのではなく、ガラスの質感にこだわって新作する。いまや希少なクロームメッキのスチール製フェンダーやマフラー、美しく微妙なアールを描くエキゾーストパイプ、巧みなボカシ技術で仕上げるサンバースト塗装の燃料タンクを作り続けるため、製造工程や手法を改善し、プロフェッショナルな人財の育成を進める。こうした努力を重ね、継続することで「SR」らしさを守っているのです。
 作業効率やコストを優先するのであれば、必要のないこと。違う方法はいくらでもあります。それでもやる価値があると考えたからこそ、ヤマハは「SR」の復活を決めました。これからも「SR400」は、さりげなく変わらない姿で走り続けていくことでしょう。

「YAMAHA SR400 〜ヤマハ魂の伝承 〜」映像 

再登場したSRにかける想いを企画・開発・デザインのスタッフがそれぞれの立場から語ったプロモーションムービー。SR400製品紹介サイトより

Message from the Editor

 SR400は間違いなく、ヤマハ発動機を代表するモーターサイクルです。発売以来40年もスタイルが変わらない工業製品なんて、世界中探してもほとんど例がないのではないでしょうか?
 海外マーケティング部に在職中、タイへのSR400導入の担当をし、SRミーティングをバンコクとチェンマイで企画しました。それまで、海外ではあまり知られていないと思っていましたが、実際のイベントは非常に盛況で、どうしてこれほど多くのSRオーナーがいるのかと、びっくりした記憶があります。ぜひこれからも、大切に乗り続けていただきたいものです。

堀江直人

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