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次代のヒーロー育成をめざすヤマハ Yamaha Motor Newsletter(Mar.30, 2018 No.63)

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次代のヒーロー育成をめざすヤマハ Yamaha Motor Newsletter(Mar.30, 2018 No.63)

2018年春、いよいよモータースポーツシーズンが開幕の時を迎えました。ヤマハもロードレースやモトクロスの世界選手権や主要エリア・ナショナル選手権に向けて参戦体制を整え、それぞれのタイトル獲得に挑戦します。なかでも、ファンの期待を一身に背負いながら各チームを代表して戦うライダーたちは、多くの候補者から選ばれたヒーローともいうべき存在。彼らが全力を尽くして競い合う姿や勝利のひとつひとつが、新たな感動を生み、YAMAHAブランドをさらに輝かせてくれるのです。
創立以来、途切れることなくモータースポーツ活動を継続してきたヤマハは、その栄光と伝統を次の世代に受け継ぐため、つねに若い才能の発掘・育成にも力を注いでいます。今回はそうした取り組みについて、MotoGPを頂点とするロードレースを例にご紹介しましょう。

MotoGP挑戦:アンダーボーン育ちのヒーロー

 2018年MotoGPの開幕戦を1ヵ月後に控えた2月中旬、Monster Yamaha Tech3のチームマネージャー、エルベ・ポンシャラルはタイのブリラムで行われた公式テストにマレーシア出身の23歳、ハフィス・シャーリンを起用。その手応えについて、MotoGP公式サイトでこうコメントしました。
 「まったく驚きました! 彼は中量級(Moto2)のライダーで、最高峰クラスのテストに参加する準備をまったくしていなかったにも関わらず、昨年チームが使用したマシンを走らせ、3日間でトップから1.7秒差にまでタイムを詰めたのです」
 そして数日後、今シーズン欠場するジョナス・フォルガーに代えて、シャーリンをレギュラーライダーとしてチームに迎え入れました。「ブリラムでは、かなり過酷なミッションを課すことになりましたが、最終的に彼はすばらしい成果を残しました。マレーシア人ライダーがMotoGPにフル参戦するのは初めてですし、私たちはこの地域でのMotoGP人気の高まりを肌で感じています。その意味も含め、彼とともにチャレンジできることを誇りに思います」
 もともとアジアのモーターサイクル市場は100〜150ccのアンダーボーンタイプが主流で、インドネシアやマレーシア、タイなどではそのマシンを使った草レースや国別選手権が盛んに開催されてきました。そこにフィリピン、インド、中国なども追随し、1996年からは日本を含めて各国を転戦するアジアロードレース選手権(ARRC)もスタート。現在は600ccスーパースポーツ(SS600)を頂点に、250ccスーパースポーツ(AP250)、150ccアンダーボーン(UB150)などのクラスが開催され、ここで実力を磨いて欧州・世界選手権に挑戦する選手も増えてきました。
 今回の抜擢は、ASEAN諸国を中心に大きな盛り上がりを見せているアジアのロードレース人気を象徴する快挙であり、シャーリンはアンダーボーンからMotoGPの夢をつかんだ最初のライダーとなったのです。

2009年「YAMAHA ASEAN CUP RACE」で優勝したシャーリン。「MotoGPライダーになりたい」と語ったその夢を現実のものにした

ASEAN CUP:潜在するアジアの力を開拓

 ヤマハとアジアとの関わりは古く、海外進出を開始して間もない1960年代初頭からブランディングやモーターサイクルの販売支援を目的としてマレーシアやシンガポールのビッグレースにファクトリーチームを派遣したり、市販レーサー「TD-1」を導入することでロードレースの普及・振興に寄与。1980年代からは現地販売会社などが主体となって、各国ごとに「YAMAHA CUP RACE」やライダーのスキルアップをはかる「YAMAHA RIDING ACADEMY」の開催、国内選手権のサポート、さらには指導者を育成するインストラクター教育などを行い、競技人口の拡大と競技レベルの向上に取り組んできました。
 各国の予選大会を勝ち抜いたライダーたちを集め、2003年から開催してきたヤマハ車のワンメイクレース「YAMAHA ASEAN CUP RACE」もそのひとつ。さまざまな国のライダーやメカニックたちが、同一条件のマシン(主にアンダーボーン)で互いの技術を切磋琢磨しあう人材育成の場であり、一定条件をクリアした優勝者にはアジア選手権や全日本選手権、世界選手権へのステップアップを見据え、トレーニングやメカニック指導、マシン貸与などのサポートを行ってきました。
 12歳で第1回ASEAN CUPノービスクラス優勝を果たし、国内や日本で経験を積んだ後、17歳で世界GP250(現在のMoto2)にスポット参戦したインドネシア出身のドニ・タタ・プラディタ。第1回から第5回大会までエキスパートクラスで活躍し、アンダーボーンマシンをYZF-R6に乗り換えたアジア選手権SS600、全日本選手権ST600で3つのタイトルを獲得したタイのデチャ・クライサートなどは、「YAMAHA ASEAN CUP RACE」のシステムが生んだ最初のヒーローです。
 そういう意味ではシャーリンも、14歳で第6回ASEAN CUPノービスクラス優勝の経験を持つ卒業生。Moto2の武者修行を終えてヤマハに戻り、アジアの輝く星となるか。19戦にわたる長いシーズン、成長著しいルーキーの活躍が楽しみです。

ASEAN CUPではトップライダーがライディングクリニックを行うほか、メカニックのサポートなど全体的なレベルアップを図る取り組みも行われた

次代育成:世界中からロッシの後継者をめざす

 ASEAN CUPが着々とライダー育成の成果を上げる一方、創立60周年を機に、ヤマハはグローバルなモータースポーツ戦略を再確認。その一環として、世界をめざす若きライダーたちのための新たなロードマップづくりに着手しました。
 最初の一歩は、アジア選手権が舞台。アンダーボーンレースからのステップアップを促すため、参加しやすい250ccスーパースポーツクラス(AP250)の新設を働きかけることでした。ASEAN CUPでは2013年からYZF-R15、翌年YZF-R25クラスを設定しており、その役割をアジア全体に広げようとしたのです。
 そして2015年、日本におけるレース活動を技術力の向上や人材育成を行う重要な開発拠点と位置づけ、アジア地域の各国現地法人と連携したグローバルな人材育成プログラムをスタートさせたヤマハは、さっそくAP250にインドネシア、タイ、オーストラリア、韓国、香港から計6チーム13名のライダーとYZF-R25を投入。さらに翌年、ステップアップをめざす目標として、SS600クラスにヤマハオフィシャルチームも創設しました。
 また、バレンティーノ・ロッシが主宰する若手イタリア人ライダー育成プログラム「VR46 Riders Academy」と提携し、その本拠地であるトレーニング施設やミサノサーキットで約1週間、同アカデミーのスタッフやライダーが指導に当たる「The Master Camp」を開催。2016年の第1回・第2回にはAP250に参戦するアジアのライダーたちが選抜され、世界をめざす意欲、夢を現実に変える強い決意を新たにしました。
 そのなかで、いち早く頭角を表わしたのは、タイ出身のアピワット・ウォンタナノン。The Master Campに参加した2016年のAP250で、6大会12レースのうち8勝を挙げてチャンピオンを獲得。2017年にはCEVジュニア世界選手権Moto3に参戦する一方、アジア選手権SS600最終戦にワイルドカード参戦し、レース1・2連勝を飾る活躍を見せました。2018年はCEVジュニア世界選手権Moto3に継続参戦し、タイトル奪取を狙います。またインドネシアのガラン・ヘンドラ・プラタマも、2017年に2度スーパースポーツ300世界選手権(WSSP300)にワイルドカード参戦し、最終戦で初優勝。2018年はアジアを飛び出し、WSSP300にフル参戦します。
 「ヤマハは、ブランド価値の向上、先進技術の獲得、レースの健全な普及を目的として世界各地でモータースポーツ活動に取り組んでいます。そのなかで、ロッシ選手やビニャーレス選手からヤマハレーシングスピリットを受け継ぐ若者を私たちの手で育てることは、大切な活動のひとつです。例えば、世界でもっとも大きな二輪市場であるアジアでモータースポーツ文化を醸成し、次世代のチャンピオンを生み出すことができれば、これまでにない快挙。もちろん欧州や北米など、成熟した環境の人材をしのぐことは容易ではありませんが、だからこそとてもヤマハらしい挑戦だと考えています」(モータースポーツ戦略部・堀越部長)
 まず2018年、そのチャンスをつかんだシャーリンが、どこまで夢に近づくのか。そして、後に続くのは誰か? わくわくする挑戦がもう始まっています。

2017年の「The Master Camp」は、欧州、北米、南米、オセアニアまで対象を広げてライダーを選抜。そのひとりイタリアのアルフォンソ・コッポラは、WSSP300から、2018年600ccのWSSPへとステップアップした

Message from the Editor

今号より担当になりましたヤマハ発動機 広報・堀江です。

YAMAHA ASEAN CUP RACEで育ったハフィス・シャーリン選手がロードレースの世界最高峰クラスMotoGPにMonster Yamaha Tech3から参戦することになり、個人的なことですが、ASEAN地域に10年近く駐在していたこともあって、感慨深い想いです。このASEANからMotoGPに憧れ、目指す若手ライダーが、この先もどんどん増えてくれることを願っています。

堀江直人

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