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生涯ファン・顧客化を促進 Yamaha Motor Newsletter (December 4, 2019 No. 76)

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生涯ファン・顧客化を促進 Yamaha Motor Newsletter (December 4, 2019 No. 76)

需要は自ら創り出すもの。それは、ヤマハ発動機が創立以来受け継いできた企業姿勢のひとつであり、すべての製品分野で事業活動の根底を支えています。例えば少子高齢化が進みつつある日本では、子どもたちのモーターサイクルやヤマハ製品に対する興味を喚起し、将来的なファンづくり、需要創出につなげようと「親子バイク教室」「親子エンジン分解組立教室」を開催。さらに、免許を持っているのに走り出せない潜在・休眠ライダーのための各種プログラムも用意し、幅広い世代の顧客化をはかっています。

 

需要創造:まず製品の価値を知らしめる

 日本が戦後復興の途についた1950年代、日本楽器製造株式会社(現在のヤマハ株式会社)・第4代社長に就任した川上源一は、欧米視察の体験から「世界に通用しないものは商品ではない」という品質重視のモノ創りを推進。さらに、楽器はきちんと弾き方を身につけ、楽しんでこそ価値があると考え、オルガン教室を開いて音楽の普及に力を注ぎました。
 その姿勢は新たに手掛けたモーターサイクル事業にも貫かれ、最初の製品「YA-1」と関連業務を引き継いで創立(1955年)したヤマハ発動機は、その後もロードレースやモトクロスなどのモータースポーツ、安全運転、運転免許取得のためのさまざまな教室を継続的に開催。モーターサイクルの楽しさや実用的な価値を広く知らしめ、利用者を増やすことで、YAMAHAブランドの向上やヤマハ製品の需要拡大をはかってきました。

ヤマハ製品を「正しく」「安全に」、また「楽しく」「役立つように」使っていただこうとさまざまな方法で普及活動を展開

 

親子教室:感動を共有し興味を育む

 こうした活動がもっとも盛んだったのは1970年代、80年代。メーカー各社からファミリータイプ、ビジネスタイプ、スポーツタイプ、大型クルーザーなど多種多様な製品が続々と生まれ、国内総需要が200万台規模まで拡大した時代です。
 「親子バイク教室」がスタートしたのもその頃。5〜6歳くらいの子どもを対象にしたファンバイク「PW50」の発売(1981年)がきっかけでした。モトクロスがブームとなったアメリカ市場からの要望で「自転車に乗れるようになった子どもたちが、両親や兄弟たちと一緒に走って楽しめる初めてのバイク」として企画・開発されたPW50は、親しみやすいToy感覚のスタイリングとデザイン、扱いやすいパワー、自転車と同じ両手ブレーキ、アクセルだけで走れるオートマチック機構、異物の巻き込みがなくメンテナンスも容易なシャフトドライブ機構などが特徴。その気軽さ、かわいらしさから「Pee Wee」あるいは「Y Zinger」の愛称で親しまれ、あっという間に世界中で大ヒットしました。
 この「PW50」を使った教室は、当初、大人と同じオフロードコースで開催され、モトクロスへのステップアップをめざすものでしたが、時代とともに目的やカリキュラムも変化。現在はスキルに合わせて3段階のコースがあり、初めてバイクに挑戦する達成感やバイクを操る楽しさ、爽快感を味わう場、交通ルールやマナーを学ぶ場、バイクを通じて親子の絆を深め、感動を共有する場として人気を集めています。2017年には、その社会的・教育的な意義や実績が評価され、政府省庁が後援する「キッズデザイン賞・審査委員長特別賞」も受賞しました。
 また同様に、多くの子どもの興味を引きつける、もうひとつの取り組みが「親子エンジン分解組立教室」。こちらは本物の小型エンジンと工具を教材に、自分たちの手で分解・組立の工程を体験しながら、エンジンが動くしくみや部品の名称・役割、工具の正しい使い方、効率よく作業するための手順や整理整頓の意味などを学ぶことができます。2002年から2018年末までに合計342回、13,800組以上の参加者を集めた実績を持ち、「親子バイク教室」に続いて2019年「キッズデザイン賞・審査委員長特別賞」を受賞しました。
 ヤマハにとって、これら子ども向けの教室はすぐ販売に結びつくものではありませんが、長期的な視野でモーターサイクル文化を醸成し、将来的なファン化、顧客化をはかる需要創造活動といえるでしょう。

子どもたちがモノ創りに興味を持ち、創意工夫の大切さを実感できるようデザインされた「親子エンジン分解組立教室」

 

課題:芽生えた興味を途切れさせない

 しかし現実的に、小学生年代の子どもたちが免許取得年齢に到達し、モーターサイクルに乗り始めるまでにはおよそ10年の年月が必要です。せっかく芽生えた興味をつなぎとめておくために、何かできることはないか……。そう考えた教室の担当者たちは、次のステップとして、親子バイク教室を経験した中学生が対象の「親子エンジン分解教室」をスタートさせました。
 小学生の教室と異なるのは、すべてにおいて本格的な環境とカリキュラム。プロのヤマハ整備士と同じ作業服に身を包み、ヤマハ本社研修センターの充実した設備と機材を使い、本物のモーターサイクルの125cc・単気筒エンジンに挑むのです。親子1組に1名ずつインストラクターが付き添い、1工程ずつ丹念な指導のもとで分解、組立を進め、完了したらそのエンジンを車体に搭載。正しく仕事ができたかどうか、キック始動して確かめるところまで行います。なかなか一発で始動できず、大汗をかきながら繰り返しペダルを踏み込む姿も多く見られますが、排気音が鳴り響いた瞬間の素晴らしい笑顔は感動的です。
 「始めたばかりですが、こういう活動の積み重ねが明日のヤマハを支えるのだと信じています」と教室の担当者。手探りしながら、地道な取り組みが続いています。

難易度の高い4ストロークエンジンを分解組立する教室は、「親子バイク教室」を経験した中学生を対象に開催

 

受け皿:あと一歩、踏み出すきっかけを創る

 近年、日本のモーターサイクル総需要は約37万台。2000年代前半から半数近くまで減少しており、市場の低迷が続いています。
 そこでヤマハは、運転免許を持ちながらモーターサイクルを利用していない潜在的なユーザーに着目。せっかく免許を取ったのに車両購入に至っていない若者たち、あるいは就職や結婚を機に乗らなくなったが、もう一度乗りたいと思っている中高年層が抱く阻害要因を調査しました。
 その結果、「ひとりで公道に出ることに大きな不安がある」ということがわかり、それを解消するさまざまな工夫を組み込んだライディング教室「大人のバイクレッスン」を開設。徹底的に基本にこだわったカリキュラム、リラックスできる親切・丁寧な指導、参加しやすい参加車両レンタル制などが好評で、各会場・各回、定員を上回る申込みをいただいています。なかでも、レッスンの後、実際に路上へ出てショートツーリングを楽しむクラスの人気が高く、4年目の今年は参加者を若者だけに絞ったプログラムを企画するなど、いっそうの充実化をはかっています。
 また、自宅に駐輪場がない、経済的な事情などで車両購入をためらっている人たちに向けては、「ヤマハ バイクレンタル」システムを全国展開。メーカー直系の安心感、利用予約の簡便さ、充実した補償制度、豊富な車種構成などにより、わずか1年で会員数1万人を突破する人気を得ています。特に125cc〜400ccクラスでは10代・20代の利用が60%を占めており、将来に向けて明るい兆しが見えてきました。
 購入する、レンタルする。どちらの形態であっても、モーターサイクルの利用を増やし、より多くの「感動」を提供すること。それがヤマハ発動機のめざす需要創造なのです。

クローズドコース内の練習で自信を深めた後、スタッフのサポートでショートツーリングに出かける「大人のバイクレッスン」。これが公道走行デビューという参加者も少なくない

 

若手社員が企画した若者向けライディングレッスンの紹介動画(YouTube)

https://www.youtube.com/watch?v=9UFjvYNKG_c&feature=youtu.be

 

Message from the Editor

 今回は、日本で展開している、子どもから大人までのモーターサイクルに関する教室を中心に紹介しましたが、それ以外にもヨットスクールや無人ヘリコプターの操縦教室など、モーターサイクルに限らない需要創造活動を行なっています。また、海外に目を向けるとインドネシアやインドでは女性向けにスクーターの乗り方教室を実施することで女性ライダーが拡大したり、タイではビックバイクに特化したスクールを開催するなど、事業やエリアを問わず、グローバルに展開しています。

堀江直人

 

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ヤマハ発動機グループは、「世界の人々に新たな感動と豊かな生活を提供する」ことを目的に、人々の夢を知恵と情熱で実現し、つねに「次の感動」を期待される企業、”感動創造企業“をめざします。

ヤマハ発動機は、パワートレイン技術、車体艇体技術、制御技術、生産技術を核とし、二輪車や電動アシスト自転車などのランドモビリティ事業、ボート、船外機等のマリン事業、サーフェスマウンターやドローンなどのロボティクス事業など多軸に事業を展開、世界30 ヶ国・地域のグループ140社で開発・生産・販売活動を行い、企業目的である「感動創造企業」の実現に取り組んでいます。今や、当社製品は180 を超える国・地域のお客さまに提供され、連結売上高の約9 割を海外で占めています。http://global.yamaha-motor.com/jp/

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