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タレス社の鉄道信号関連事業を買収

Press release -

タレス社の鉄道信号関連事業を買収

株式会社日立製作所(以下、日立)の鉄道システム事業におけるグループ会社である日立レール社は、Thales S.A. (以下、タレス社)の鉄道信号関連事業(以下、対象事業)を買収することを決定しました。日立レール社とタレス社は、対象事業の事業価値について、16億6,000万ユーロ(約2,150億円)で合意しました。なお、最終的な買収価格は、さまざまな調整を行った後に確定する予定です。

本買収のクロージングは、競争法その他の法令等に基づき必要なクリアランス・許認可等の取得を前提として、2022年度後半までに行われる予定です。また、日立レール社およびタレス社は、それぞれの従業員代表に対して、関係各国の法律に基づき、本件に関する情報提供や協議を行います。日立は、対象事業の統合を円滑に成功させるために条件を整え、社会的責任を果たします。

タレス社の鉄道信号関連事業は、鉄道信号システム、鉄道運行管理システム、通信システム、チケッティングの分野におけるグローバルリーダーであり、2020年の売上高は16億ユーロでした。世界42か国(事業本社機能はドイツ、フランス、カナダに点在)に約9,000人の従業員を擁しています。タレス社当該事業は引き続き堅調な売上及びEBITの成長を見込んでおり、クロージング時の予想事業価値/EBIT(スタンドアローンベース)マルチプルは、10倍程度を見通しています。

本買収で、日立は鉄道信号システム事業をグローバルに拡大し、競争力の高いターンキーソリューションを新たな地域に展開することにより事業成長を加速させていきます。また、日立とタレス社の鉄道信号システム事業を統合することにより、当該事業分野でグローバルトッププレーヤーへと躍進します。さらに、日立の強みとタレス社の鉄道信号関連事業のデジタル技術をかけ合わせることにより、Mobility as a Service(MaaS)ソリューションのグローバルでの事業展開を加速させます。

日立の鉄道システム事業と、タレス社の鉄道信号関連事業との補完的な強みや、MaaSやデジタル化の急速な進展を背景として、クロージングから4年後の2026年度に売上高1兆円、二桁の調整後営業利益率の達成をめざします。

タレス社の鉄道信号関連事業は、幹線鉄道向け信号システム、都市鉄道向け信号システム、統合通信システム、料金収受システムの4事業で構成されており、このうち約50%はデジタル関連事業であることから、モビリティセクターにおけるデジタル人材を豊富に有しています。

日立とタレス社の鉄道信号関連事業は、地域的・技術的な補完性が高く、シナジー効果が見込まれます。

  • グローバル
    日立は、主に日本、イタリア、英国、米国において鉄道システム事業を展開していますが、タレス社の鉄道信号関連事業は、ドイツ、フランス、カナダなどに主要拠点があり、地域的な補完性が高く、世界のより多くの地域や顧客に対して、鉄道システムやソリューションを提供できるようになります。これにより、日立の鉄道システム事業は、鉄道車両、信号・ターンキー、サービス・保守、デジタルサービスなどの鉄道ソリューションを総合的に提供するグローバルポジションをより強固にします。
  • デジタル
    日立は、タレス社の鉄道信号関連事業における顧客基盤を活用し、日立のLumadaデジタルソリューション・サービスや、GlobalLogic社のデジタルエンジニアリングサービスのグローバル展開を加速させます。また、2021中期経営計画に沿って、大きな成長が期待されるMaaSセグメントへの参入を推進します。MaaSセグメントは、2025年まで年間平均成長率25%以上で成長していくと予測しています*。日立の鉄道システム事業とタレス社の鉄道信号関連事業の統合により、当該セグメントにおいて優位なポジションを確立できると見込んでいます。

  * Mobility-as-a-Service (MaaS) Global Study 2025, BIS research

  • サステナビリティ
    日立は、環境長期目標において、2030年までにすべての事業所でカーボンニュートラルを実現し、2050年までにバリューチェーン全体でCO₂排出量を2010年度比で80%削減するという長期目標を掲げていますが、本買収はこの取り組みを加速させます。例えば、対象事業の運転支援システム「GreenSpeedTM」を提供することで、鉄道運行速度を最適化し、エネルギー消費とCO₂を15%削減します。
  • シナジー効果
    今回の買収により、買収完了から4年後には年間1億ユーロを超えるランレートのシナジーが見込まれます。売上シナジーは、より広範なグローバル顧客層へのクロスセリングなどの事業規模の拡大によってもたらされ、コストシナジーは、調達効率の向上、エンジニアリング能力の最適化、生産性の向上などのコスト競争力によって実現します。

日立製作所 執行役常務 鉄道ビジネスユニットCEO アンドリュー・バーのコメント

本日の発表は、日立レール社とタレス社の鉄道信号関連事業の従業員にとって、世界中のお客様や鉄道利用者に、新たな価値を提供する素晴らしい機会となります。私たちは、ターンキーソリューションの一部としての中核となる鉄道信号事業の能力を高めるだけでなく、デジタルやMaaSの成長機会も拡大していきます。タレス社の鉄道信号関連事業が有する強力なチーム、顧客基盤、先端技術は、LumadaやGlobalLogic社のデジタルエンジニアリング能力によってさらに強化され、我々は主要なプレーヤーとしてのポジションを獲得するでしょう。

タレス社 戦略・R&D担当 EVP フィリップ・キーヤー氏のコメント

主要企業と協議した結果、タレス社はTransport事業の長期的な発展のため、最高のパートナーを選択しました。この決断は、お客様、従業員、株主の皆様に大きな価値をもたらします。これにより、鉄道信号関連事業は、成長する持続可能なモビリティ―分野における最前線に立つことができます。

(添付資料)

■買収の概要

  • スキーム:タレスグループから対象事業のカーブアウトを行い、従業員代表との協議、関連する規制当局の承認に基づき、日立レール社100%買収。なお、タレス社より開示されている財務情報は、カーブアウトに伴う調整が含まれていないため、開示されている財務情報よりも対象事業のEBITは高くなります。
  • 買収価格:企業価値 16億6,000万ユーロ(約2,150億円)。最終的な買収価格は、クロージング時の純運転資本額および純有利子負債額等により調整を行った上で決定されます。
  • 支払方法:現金
  • スケジュール:従業員代表との協議や、規制当局の承認等を前提として、2022年度後半までに行われる予定です。
  • アドバイザー:財務アドバイザーとして、ドイツ銀行およびペレラ・ワインバーグ・パートナーズ、法務アドバイザーとしてクリフォードチャンス法律事務所から支援を受けています。

■タレス社の鉄道信号関連事業について

 ①幹線鉄道向け信号システム(Main Line Signalling)
  : 売上構成比(2020年) 約50%。
  : 列車制御システム、トラフィックマネジメントシステム、進路制御
    システム

 ②都市鉄道向け信号システム(Urban Rail Signalling)
  : 売上構成比(2020年) 約20%
  : 列車制御システム(CBTC)、路線制御システム

③統合通信システム(Integrated Communication Systems)
  : 売上構成比(2020年) 約20%
  : 運行管理センター、監視カメラ・セキュリティシステム、人流解析シ
    ステム、アダプティブ接続システム、予知保全システム、路面電車・
    ライトレール向け信号システム

④料金収受システム(Revenue Collection Systems)
  : 売上構成比(2020年) 約10%
  : 料金収受システム、駐車料金決済システム、道路通行料決済システム

対象事業のモメンタムは強く、2020年7月から2021年6月にかけての業績は、売上高 17億ユーロ、EBIT 1億2,100万ユーロ、EBIT率 7.3%です。同事業の継続的な売上高、EBITの成長推移を見込み、クロージング時の事業価値/EBIT(スタンドアローンベース)マルチプルは、10倍程度と想定しています。

なお、売上高の約50%を占める、都市鉄道向け信号システム、統合通信システム、料金収受システムは、デジタル関連事業です。

タレス社の鉄道信号関連事業は、特定の主要地域に注力しています。

・英国・ドイツ:都市鉄道向け信号システムのブラウンフィールド案件におい
 て強固な実績を有し、日立にとって、英国市場へのさらなるプレゼンス強化
 と、ドイツの鉄道信号事業への参入を実現します。
・APAC:シンガポールや香港などのAPAC地域で重要な都市鉄道向け信号シス
 テムの実績を持ち、日立にとって現地パートナーとの既存JVを通じて中国の
 鉄道信号市場における事業展開を実現します。
・北米:カナダにある都市鉄道向け信号システム本社を通じた北米の事業展開
 の強化が実現可能になります。

タレス社の財務情報(英文)は以下URL参照ください。なお、クロージング時点の財務情報とは異なる可能性があります

https://www.thalesgroup.com/en/investor/publications/releases-publications?field_asset_category_target_id=4296

<将来の見通しに関するリスク情報>

本資料における当社の今後の計画、見通し、戦略等の将来予想に関する記述は、当社が現時点で合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の業績等の結果は見通しと大きく異なることがありえます。

その要因のうち、主なものは以下の通りです。

・COVID-19の流行による社会的・経済的影響の悪化
・主要市場における経済状況及び需要の急激な変動
・為替相場変動
・資金調達環境
・株式相場変動
・原材料・部品の不足及び価格の変動
・長期請負契約等における見積り、コストの変動及び契約の解除
・価格競争の激化
・人材の確保
・新技術を用いた製品の開発、タイムリーな市場投入、低コスト生産を実現する当社及び子会社の能力
・製品等の需給の変動
・製品等の需給、為替相場及び原材料価格の変動並びに原材料・部品の不足に対応する当社及び子会社の能力
・信用供与を行った取引先の財政状態
・社会イノベーション事業強化に係る戦略
・企業買収、事業の合弁及び戦略的提携の実施並びにこれらに関連する費用の発生
・事業再構築のための施策の実施
・主要市場・事業拠点(特に日本、アジア、米国及び欧州)における政治・社会状況及び貿易規制等各種規制
・持分法適用会社への投資に係る損失
・コスト構造改革施策の実施
・地震・津波等の自然災害、気候変動、感染症の流行及びテロ・紛争等による政治的・社会的混乱
・当社、子会社又は持分法適用会社に対する訴訟その他の法的手続
・製品やサービスに関する欠陥・瑕疵等
・情報システムへの依存及び機密情報の管理
・自社の知的財産の保護及び他社の知的財産の利用の確保
・退職給付に係る負債の算定における見積り

以 上

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■日立製作所について

日立は、IT(Information Technology)、OT(Operational Technology)およびプロダクトを組み合わせた社会イノベーション事業に注力しています。2020年度(2021年3月期)の連結売上収益は8兆7,291億円、2021年3月末時点で連結子会社は871社、全世界で約35万人の従業員を擁しています。日立の先進的なデジタル技術を活用したソリューション/サービス/テクノロジーであるLumadaを通じて、IT、エネルギー、インダストリー、モビリティ、ライフ、オートモティブシステムの6分野でお客さまのデータから価値を創出し、デジタルイノベーションを加速することで、社会価値・環境価値・経済価値の3つの価値向上に貢献します。

詳しくは、日立のウェブサイト(https://www.hitachi.co.jp/)をご覧ください。

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