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日立とアルストムが英国でハイスピード2向け車両の製造・保守を受注

Press release -

日立とアルストムが英国でハイスピード2向け車両の製造・保守を受注

 株式会社日立製作所(以下、日立)の鉄道システム事業におけるグループ会社である日立レール社とアルストム社(以下、アルストム)は、本日、日立アルストムハイスピード共同事業体(Hitachi-Alstom High Speed/以下HAH-S)が、英国ハイスピード2社(以下HS2社)と、HS2プロジェクトフェーズ1向け次世代高速鉄道車両の設計、製造、保守に関する契約を締結したことをお知らせします。契約金額は19億7,000万ポンド(約2,957億円)であり、保守契約は12年間です。なお、HAH-Sは、日立レール社とアルストムの共同事業体です。

 英国に鉄道車両製造拠点を持つ日立とアルストムは、欧州で最も速い最高時速360kmで走行する車両を納入することで、乗客の移動時間を大幅に短縮することができます。本車両は100%電気で駆動し、軽量化、エアロダイナミクス、回生エネルギー、最新の駆動技術により、世界最高レベルのエネルギー効率をもつ高速車両です。

 HAH-Sは、ダラム郡やダービー、クルーの施設を新たにアップグレードして54編成の車両を製造します。英国を拠点とする企業が受注したことにより、数千人規模の環境価値向上に貢献する雇用を創出し、車両製造期間に毎年1億5,700万ポンド(約235憶円)のGVA (Gross Value Added/粗付加価値)を英国経済にもたらします。

 全長200m、1編成当たり8両の新型車両は、プロジェクトのフェーズ1でロンドンとバーミンガムを結び、在来線に乗り入れます。また、ストーク、クルー、マンチェスター、リバプール、カーライル、マザーウェル、グラズゴーを含む都市間の輸送能力と接続性を飛躍的に向上させます。本車両の導入により、化石燃料で動く自動車や飛行機から、鉄道への移行を人々に促すことで、温室効果ガスの削減に大きな効果をもたらします。


鉄道ビジネスユニットCEO Andrew Barr(アンドリュー・バー)のコメント:

 私たちはアルストムと共同で英国の次世代高速鉄道車両を開発できることをうれしく思います。この英国製の高速車両は欧州で最も速い車両になります。日立が本プロジェクトを通じて英国の輸送能力のさらなる向上に貢献できることを誇りに思います。

アルストム社英国・アイルランド マネージングディレクターNick Crossfield(ニック・クロスフィールド)のコメント:

 HS2は21世紀にふさわしい持続可能な交通システムを構築することにより英国を変革する、一世一代の機会です。アルストムと日立レール社の共同事業体が欧州最速の車両を製造、保守できることをうれしく思います。

*1 1ポンド=150.13円で計算

■英国の高速鉄道車両

 車両設計の大部分と、製造、試験、保守は英国で行われます。世界中で数十年にわたる高速車両の経験が活かされる、欧州で最も先進的な車両です。新しいHS2路線では、乗客へ高い信頼性と最先端の顧客体験を提供することができます。

 日立とアルストムの高速車両プラットフォームでは、前例のないレベルのデジタル技術が活用されます。例えば最新のセンサーにより、故障の可能性を事前に察知し、信頼性が高く、シームレスな移動を保証します。乗客はシームレスで大容量のワイヤレスインターネット、デジタル座席予約、多数のチャンネルが用意された旅客案内を利用でき、これらは技術の進歩とともにアップグレードされていきます。設計時には世界的に有名なインクルーシブデザインの専門家と共同で、あらゆる世代の方のニーズに応えていきます。


■経済活性化と地域格差解消

 英国にとって最も重要な鉄道車両の受注は、英国経済の活性化に大きく貢献します。日立とアルストムはニュートンエイクリフ、ダービー、クルーの工場で、9,000人の英国の優れた従業員と幅広いサプライチェーンに支えられ、新型車両を製造します。
 車両製造では、2,500人以上の雇用を創出します。設計・製造段階にミッドランド及び北部イングランドで、49人の実習生と新卒採用を含む505人の直接雇用のスタッフを採用します。また、英国のサプライチェーンを幅広く活用するということにより、2,000人の間接的な雇用が英国で創出されます。
 さらに保守では、バーミンガムのWashwood Heath(ウォッシュウッド・ヒース)で100人の雇用を創出します。これは、既に日立とアルストムが実施している地元の学校との提携や200人の実習生や新卒採用者に加えて、新しい教育への投資のきっかけとなります。日立とアルストムは英国の大学との研究開発に500万ポンド(約7億5,000万円)を支出することを表明しています。

 今回の受注の一環として、日立とアルストムは、新たに数百万ポンドを最新の溶接、台車製造設備に投資することにより、作業者のスキルを向上させ、英国の車両製造能力を拡大させます。Oxford Economics(オックスフォード・エコノミクス)は、HAH-Sは製造フェーズだけで11億ポンド(約1,650億円)のGVAを英国経済にもたらすと分析しています。

 日立は近年850万ポンド(約12億7,600万円)を投資し、専用の溶接及び塗装施設をニュートンエイクリフに作りました。この投資により、ニュートンエイクリフへの投資総額は1億1,000万ポンド(約165億円)となりました。この工場は2015年に開業し、約700人を雇用しており、イングランド北東部での製造業の活性化と車両製造の復活の原動力になっています。新しい溶接施設では車体の組立と艤装を行い、その車両をイーストミッドランドに輸送します。
 ダービーにあるアルストムの工場は英国最大の工場で、2,000人を雇用しています。ダービーで内装、電気品、台車等の部品の取り付けを行います。台車はアルストムのクルー工場で製造されます。これは、アルストム社の新たな投資の一環として、17年ぶりに英国で製造する高性能製品です。北東イングランドの溶接施設とクルーの台車製造施設は、スキル向上と英国で築かれた技術の継承という重要な役割を果たします。

 HS2社によってバーミンガムに建設されるウォッシュウッドヒースの施設で世界最高のサービスを行うために保守専門チームが組織されます。クルーにあるアルストムのサービスセンターは、車両の中の多くの重要部品やシステムの戦略的な拠点です。長期にわたる保守事業は、2つの地域において雇用の創出と、中小企業を含む幅広いサプライチェーンのビジネス拡大の機会をもたらします。HAH-Sは2025年の製造開始に向けて、HS2社とHS2の運営会社であるWest Coast Partnershipと共同で、車両の設計を完成させます。


■英国での温室効果ガス削減

 100%電気で駆動し、500人以上が乗車できるHS2の新型車両は、同区間を移動する自動車や飛行機に比べて温室効果ガス排出が少ない交通手段です。この環境効果は、今後再生エネルギー電力が増えるに伴い、さらに増加します。軽量でエアロダイナミクスを応用した設計と、最新のエネルギー効率が高い駆動技術で、HS2車両は最もエネルギー効率が高い高速鉄道車両になります。また、最先端の回生ブレーキシステムは、エネルギーを送電網に戻すことで、エネルギー効率をさらに高めます。

【添付資料】

  • 日立とアルストムは、HS2フェーズ1用に54編成の車両の設計、製作、保守を行うため、Hitachi Alstom High Speedという名称の共同事業体を設立しました。
  • 日立とアルストムはダービー、ニュートンエイクリフ、クルーの工場や、イングランド、スコットランド、ウェールズにある多数のオーバーホール、保守拠点を含めて英国で合わせて約9,000人を雇用しています。
  • 英国に拠点を持つ2社のパートナーシップは、全世界における高速車両の豊富な納入経験の上に築かれています。日立は国際的に有名な新幹線の開発に参加しており、アルストムはフランスのTGV開発を手がけるなど、全世界25か国(欧州、中国、米国等)で高速車両の実績を持っています。
  • 英国では、日立は英国唯一の国内サービス用高速車両のクラス395(通称ジャベリン)の実績があります。ジャベリンは2012年ロンドンオリンピックに先立って日立が製造した車両です。ジャベリンは英国で最も信頼性が高く人気の車両で、アシュフォードからロンドン・セントパンクラス駅間を約10年間、最高時速225kmで走行しています。
  • HAH-SではHS2向け新型車両を製作するため、入札とプロジェクト情報を日立とアルストムで共有していますが、日立とアルストムは、他の全ての市場やプロジェクトでは引き続き競合関係にあります。
  • アルストムはBombardier Transportation(ボンバルディア トランスポーテーション)を2021年1月に買収し、ダービーとクルーの車両工場がアルストムグループに入りました。


■日立製作所について

 日立は、データとテクノロジーで社会インフラを革新する社会イノベーション事業を通じて、人々が幸せで豊かに暮らすことができる持続可能な社会の実現に貢献します。「環境(地球環境の保全)」 「レジリエンス(企業の事業継続性や社会インフラの強靭さ)」 「安心・安全(一人ひとりの健康で快適な生活)」に注力しています。IT・エネルギー・インダストリー・モビリティ・ライフ・オートモティブシステムの6分野で、OT、ITおよびプロダクトを活用するLumadaソリューションを提供し、お客さまや社会の課題を解決します。2020年度(2021年3月期)の連結売上収益は8兆7,291億円、2021年3月末時点で連結子会社は871社、全世界で約35万人の従業員を擁しています。

 詳しくは、日立のウェブサイト(https://www.hitachi.co.jp/)をご覧ください

■アルストム社について

 低炭素社会の実現に向けて、アルストムは交通輸送の未来のための持続可能な基盤となるモビリティソリューションを開発・提供しています。アルストムの製品ポートフォリオは、高速鉄道、メトロ、モノレール、トラムから、フルターンキーソリューションやカスタマイズサービス、インフラ、信号、デジタルモビリティソリューションまで多岐にわたっています。アルストムが製造した15万両の車両が世界中で運行しています。2021年1月29日にボンバルディアトランスポーテーション社がアルストム社に加わり、プロフォーマベースのグループ全体の売上収益は、2021年3月31日までの12カ月間で140億ユーロに達します。フランスに本社を置くアルストムは、現在、世界70カ国で事業を展開し、7万人以上の従業員を擁しています。www.alstom.com

以 上

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